地方に住み始めて、こんなのあるんだ!怖い!と驚いたのは、超ローカル地方紙のきめ細かさ。今では私にとっても、あれが発行されていることが普通のことになってしまったけれど、あの新聞があるから地方の人は保守的になってしまうのではないだろうか、とは思っている。
数日に1回発行されるこの超ローカルな地方紙には、市の周辺の出来事がきめ細かく載っている。
ワクチン接種、コロナ感染者、近辺の中小企業の決算や新たな取り組み、新しく出来たお店、スポーツで活躍した子供や大人、作品展を開いたシニア、咲いた花、完成した建物、各学校で行われた周年式典の様子、動物、などなど、とにかくこのあたりで起こったちょっとした変化を見逃さない。
地方に住み始めた頃、こんな小さな話題も取り上げるの?記事の内容もレイアウトも話題も、全部がださい新聞だなーと馬鹿にしていたけれど、実際のところ、この新聞は結構役に立つ。そして今ではこの新聞の存在にも、だささにも慣れた。
私みたいに途中から参加した地方住民は、これを読み続けることによって、かなりこの辺りの事情に詳しくもなれる。どんな話題にも、市に続く細かい住所が載っているので、地名も覚えられるし、かなりお世話になっている。
でもこの新聞、改めて考えると、怖い存在。この辺りでは、悪いことできないなって思う。そして、むやみに良いこともできないし、目立ちすぎてもいけない。
他の近くの市との比較とかもしていて、それも怖い。
コロナの10万円給付の時は、この市は職員が○人体制で袋詰め作業を行って、○月○日に作業を終えましたが、うちの市の発送はもう少し先です。とか。
コロナのワクチンの配分割当率が、人口あたりうちの市はこんなにも少ない。とか。
接種券発送の時もスピードを競い、システムを競い、最近は接種率を競っていたり。とか。
行政も下手なことしたら、ちょっとでも近辺の市と比べて遅れをとったら、静かに叩かれる。
もっと怖いのは、私が住む市から少しだけ離れた市のローカル紙。この市はとても小さいのに、紙も上質で発行間隔も短い。だからもう、子供とかも総動員される。ちょっとしたローカルなスポーツ大会で8位入賞したら、もう名前が出る。地名も出る。ていうか、番地まで出る。
個人情報が、本当にダダ漏れ。多分、あの市に住めば、1回は何かしら名前が載ると思う。もう、引っ越して来ただけで記事になりそうな勢い。
お正月特大号なんて、県外で普通の会社に働いているその市出身の人まで総動員され、何十人もの人達が、今の仕事の様子や当時のその市で過ごした思い出を語っている。そして最後には、その市在住の親たちの住所が載る。
こうやってどこまでもついて来るので、県外に行っても変なことできない。活躍するのもちょっと恥ずかしい。そんな感じ。
あまりにも個人情報が漏れているので、その市の出身の人何人かに、あの新聞についてどう思っているのか聞いてみたら、「あの新聞は怖い」「すぐ載るから悪いことできない」「とりあえず誰でも1回は載ってると思う」「何かするとすぐ取材が来る」「載りそうなことをする時は、とりあえず載る時用の写真を用意する」などと言っていた。
あの新聞を念頭に置いた上で、市民たちは生活しているようだった。怖い。怖すぎる。
あの市には絶対に住みたくないけれど、私が住む市もなかなかだよな、実際は。
まわりみ
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