地方に住むって、こういう感じ

20代を都会で過ごした女が、地方に戻ってひっそり幸せに暮らす様子。

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石原慎太郎「「私」という男の生涯」

こんにちは、まわりみです。
安倍元首相の国葬の日に、東京に住んでいなかったことは残念でした。警備が厳戒態勢で動きにくさはあるだろうけれど、それを直に体験してみたかったな。


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石原慎太郎「「私」という男の生涯」を読んだ。これは、石原慎太郎の自伝。
このタイトル、なんだか「嫌われ松子の一生」みたい。
巻末には、

この自伝は著者の死後発表される目的で書かれた作品です。
生前に、著者は構成ゲラのチェックを四度済ませております。


とある。いやー最後の最後まで、しかも死んだ後にまで粋なことをする人だなーと思う。
この本の印税、良純ももらったりするのかな。
発行は幻冬舎。編集者はもちろん、文中にも度々登場する見城徹氏。


久しぶりに美しい日本語を読んでいるな、という良い気持ちになりながら、同時に、ひたすらに石原慎太郎の自慢話を延々と聞かされるという、前代未聞の読書体験。
普通、自慢話が延々に書かれている場合、途中で読むのを辞めたくなってしまうと思うのだけれど、三島由紀夫の文章かな?ってくらいに綺麗な文章で、しかもスルスルと読ませる魅力もあって、どんどん読み進められた。


結構な分厚さのある本で、幼い頃の生い立ちや弟のこと、作家デビューのこと、そして政治家としてのことや恋愛話がサラサラと書かれている。
読んでいて、一番書くのに力を入れているなと思ったのが、恋愛の話。
また、意外にも自身の体験や見聞から、スピリチュアルなこともかなり信じられているようで、そこがまた面白かった。


石原慎太郎は学生結婚をしてから後、離婚もせずに4人の子供をもうけているわけで、彼にとっての恋愛=不倫なのだけれど、これがもう、お相手の方も何ともユニークな方々で。
まぁ、あの変なじーさんと付き合うのなら、あのくらい変わった女性でなければ。そんな謎の納得をしつつ、興味深く読んだ。
「彼女は処女だった」的なことをわざわざ自慢げに書くあたり、昔のジジイって感じがして、ほくそ笑みつつ。


読み終わる頃には、20年くらい前に味わった三島由紀夫「豊饒の海」全四部作を読み終わる頃のような、何ともいえない気持ちになり、石原慎太郎の凄さを思い知った。
やっと終わる、でも終わってほしくない。そんな気持ちに加えて、この世の理(ことわり)についてを考えてしまう、何とも不思議な、何とも言えない気持ち。


石原慎太郎の小説は、たしか大昔に「太陽の季節」を読んだだけだと思うのだけれど、このじーさんの小説はどれを読んでも間違いがなさそうだな、と思った。
面白い作品って、本当のこと、本音のことが書かれてるものだと思うのだけれど、このじーさんは、絶対に本音しか言えない、書けないタイプだと、この本で確信したから。

自分を忘却してしまって死ぬのだけは嫌だ。そんな風に終わる人生なんぞ、結局虚無そのものではないか。忘却は嫌だ。何もかも覚えたまま、それを抱えきって死にたい。


自伝にこんなことを当たり前のように書く石原慎太郎は、なんて欲張りなんだろう。自分大好きなんだろう。
サラリとこんなことを書ける石原慎太郎、信頼できる。


しかし、人生って何なのだろう。
お金や地位や名声ではなくて、やっぱり恋愛や人と人との出会いなのだな、と深く思わせられる作品だった。


自分自身は作家。そして弟は石原裕次郎。後には国会議員、東京都知事として長年やってきた超大物人物であるので、もう書くこと書くこと凄くて、これが一人の人間のノンフィクションってすげーなまじで、と思うわけだけれど、結局印象に残ったのは、不倫エピソードっていう。
たぶん、石原慎太郎自身もそうなのだと思う。
たぶん、それで良いんだと思う。


この本、この高齢化社会でもっともっと売れても良いと思うし、話題になっても良いと思ったのだけれど、それは私が石原慎太郎寄りの変わり者だから?
10年に一度くらいは読み返したい、そして晩年は何度も読みたいなと思える、死に向かう人による、死に向かう人のための、素晴らしい作品だと思いました。


石原慎太郎が都知事のころ、短期間でも東京都に住めば良かったな。
まわりみでしたー。


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